「未病治」という言葉をご存知でしょうか?これは東洋医学の理念の一つで、「未だ病とならざるを治す」という意味を持っています。簡単に言えば、病気として診断される前の状態、つまり「未病」の段階で適切なケアを行い、病気の発生や進行を防ぐことを指します。鍼灸、整体、マッサージなどの東洋医学では、この未病治の考え方が施術の基礎となっています。
未病の状態とは?
未病とは、西洋医学の診断では異常が見られない状態を指します。例えば、病院で検査をしても明確な異常値や診断がつかない場合がこれに該当します。しかし、本人はなんとなく体調が優れなかったり、違和感を覚えたりしている状態です。このような場合、私たちはどのようにその「未病」を見つけ、改善へと導くのでしょうか?
施術の現場でよくある例
施術の現場では、「歩くときに膝が痛い」という方に、実際にその場で歩いてもらうと「痛くない」というケースや、「寝ていると腰が痛む」とおっしゃる方に、ベッドで痛みを確認してもらうと「今は痛くない」と言われることがよくあります。また、「いつも膝が痛む」という方でも、その時は痛みを訴えないことがあります。
これらのケースでは、ご本人も困惑されていますが、実際に身体を触診してみると、たとえば腰が痛いという方の場合、腰周辺の筋肉や関節に左右差が顕著に現れていたり、動作に違和感が見られたりします。これらは身体が発する「信号」とも言えるサインです。
東洋医学のアプローチ
東洋医学では、こうした微妙な違和感といった体の信号を頼りに施術を行います。例えば、触診による感覚や患者さんの動作などを見て、病院の検査では判定できない違和感をみつけます。そして、その違和感を丁寧に取り除くように施術を進めていくと、症状が徐々に緩和されていきます。
未病治の重要性
未病治の考え方は、〇〇病という診断がついてから対処するのではなく、体が発する小さなサインに気づき、それを早めにケアすることの重要性を教えてくれます。鍼灸や整体、マッサージなどの施術は、体の調和を整え、病気の芽を摘む大切な手段です。東洋医学が私たちに与えてくれるこのアプローチは、健康を維持し、生活の質を向上させるための強力な助けとなるでしょう。